おいしい「仁多米」が出来るまで

 「米」という字は、「八」と「十」と「八」からできており「八十八」と読めるため、語呂合わせで「米を作るには八十八もの多くの手間がかかる」と言われてきました。

 田植え機やトラクターなど、作業の機械化が進んだ今でも農家さんは大変な手間と苦労をかけてお米を作っています。毎月の代表的なお仕事をまとめました。

 稲の生長に合わせて進む農作業を、季節ごとに少しのぞいてみましょう。

3月・・・種まき

育苗箱(いくびょうばこ)に、稲の苗をつくるための種まきを行います。

【種について】 

Q良い種はどうやって選ぶの?

塩水選というやり方を使います。

塩水選(えんすいせん):塩水に種もみを入れて、塩水に浮かばない、ずっしり実のつまった重い種もみをえらびます。

Q種が芽を出すためには、何が必要なの?

種が芽を出すためには、たっぷりの水分・酸素・温度が必要です。

水をたっぷりと吸わせ、発芽(はつが)しやすい状態にします。

乾いた種の約1.2倍の重さになるまで、約1週間以上水を吸わせます。

【種まき、苗の生育の流れ】

育苗箱(いくびょうばこ)という箱をベルトコンベア式の自動種まき機に載せ、土→種→土→水の順番に、ゆっくりと進む育苗箱の中にしきつめます。

土と種が入った育苗箱をビニールハウスの中に並べ、日光で温めて育て、田んぼに植える苗をつくります。

ビニールハウスは昼間の気温が20℃をこえるほど、とても暖かいです。

ビニールをときどき開けて、日光に当てながら少しずつ外の空気にならします。

10cm以上に伸びて、根やくきがじょうぶでしっかりとした健康な苗を育てれば、米作りの半分が成功したのと同じです。

「苗半作」という言葉があるほど、大切なポイントです。

大切に育てすぎると、ひょろひょろの苗ができてしまいます。

ひょろひょろの苗だと、いざ外の田んぼに植えたときに、外の天候に負けてしまいます。

田んぼの面積10aあたり、育苗箱およそ20箱の割合で準備をします。

【昔の田んぼ】

田んぼの中に苗を育てる田(苗代なわしろ)をつくり、種をまいて育てました。

4月・・・田んぼで田植えの準備

田んぼに堆肥をまき、水を引き(水を流しこみ)、田おこしや代かき(しろかき)を行います。

田おこしとは

 トラクターを使って田んぼを耕す作業です。

田んぼに堆肥や肥料を与え、土を掘り起こしてよく耕すことで

酸素もたっぷり含んだバランスの良い土をつくることです。

堆肥(たいひ)・・・牛のフンにワラやもみがら等を混ぜて成熟させてつくります。

土の中で分解されて肥料分となり、バクテリアのはたらきを活発にして土をやわらかくします。

代かき(しろかき)とは

・・・田んぼに水を張って土をかき混ぜ、水の深さや水はけにムラが出ないように表面をならすことです。土が固まってデコボコとしている田んぼをきれいなたいらにすることで、肥料が全体にいきわたり、稲がむらなく成長できます。水から出た部分がある(ぼこぼこしている)と、その部分に雑草が生えてしまうため、表面のぼこぼこをなくしていきます。

水は用水路からひきます。

【田んぼの水について】

田んぼに水をはると土の中は酸欠状態になり。有害物質が死滅して、作物がよく育つ中性の土壌に保たれます。また稲は土と水の両方から養分を吸収でき、川の水がたえず運んでくれる養分が天然の肥料となります。こうして田んぼの土は、毎年米を作り続けても土の力が豊かに保たれるのです。

5月・・・田植え、補植

ゴールデンウィーク頃に田植えをします。

水を張った田んぼに3月から育苗箱で育てていたお米の苗を植えていきます。一般的に田植機を使いますが、田んぼの隅や、田植機がうまく植えれなかった場所(欠株(けっかぶ))には、後で手で植えます(補植(ほしょく))。

この時期が農家にとって1年で最も忙しい時期です。田植えにちなんだ伝統行事が各地で行われます。

【田植えのやり方】

・機械植え

育苗箱をビニールハウスから田んぼにはこび、箱についた根を切った後、田植え機にセットします。

列の間は30cm、株と株の間は15cm

最近では、GPSで位置情報を取得し、自動で田植えをすることができる機械も登場しました。

将来的には無人の田植え機が活躍するのでしょうか。

・手植え

 昭和45年頃までは、苗代で作った苗を1株ずつ手で植えていました。

現在では、山の小さな田んぼや機械の入らない田んぼなど、ごく一部でしか見かけなくなりました。

田植え機で行った田植えでは、機械が上手に苗を植えれなかった場所(欠株といいます)に植える補植は、手で行います。

・田植えの後すぐは、かよわい苗を風やさむさから守るため水をふかめにし、9月上旬ごろまで水の管理が続きます。

6、7、8月・・・草刈り・草取り、中干しと溝切り

草刈りと草取り 
 稲刈りの時期まで、田んぼの中に生えた雑草(ヒエなど)の草取りと、あぜ道の草刈りを行います。
これを行うことで、お米に栄養がいきわたりやすくなり、栄養を雑草にとられることがなく、おいしいお米ができます。
 あぜ道の草刈りは、お米の天敵カメムシの住みかをなくす効果があります。

中干し
 田んぼから水を抜いて、土を乾かします。

溝切り(みぞきり)
 水はけがよくなるように、畑のあぜにそって、苗の間にみぞをつけます。大きな田んぼだと、田んぼの真ん中にもみぞをつけるところもあるようです。

9月、10月・・・収穫

秋になると、稲穂がたれ下がり、青々としていた田んぼが金色に輝きます。

田んぼの水をぬき、田んぼを乾かします。稲穂を刈り取る機械が田んぼのぬかるみにはまってしまうことを防ぐためです。

農家さんは、頃合いをみて稲刈りを行い、イネはでを行います。

収穫したお米は、検査員のいるお店やJAに卸して検査、お米を買い取ってもらいます。

来年の種にする種もみを選びます。

ここから先は、飯塚豊市商店の出番です。

もみすり:もみを乾燥させ、もみがらを落として玄米にします。

玄米を袋につめ、保管。

販売店などを通じ、お米が皆さんの食卓に並びます。

11月、12月・・・来年に向けて、田んぼの整理

堆肥をまいて、秋の田おこしを行います。

これは、稲が持って行った栄養を補うためです。

土の成分を調べ、たりない養分などをおぎないます。

田んぼから水が漏れないのはどうしてでしょうか?

それは、春、田んぼに水を入れて、田んぼの土と混ぜ合わせる「しろかき」をするからです。ドロドロの泥水が、土の細かい穴をふさいでくれるので、田んぼから水がもれないようになります。

山からとけだした養分をたっぷり含んだ川の水は、用水路を通じて田んぼを潤します。
作土層は稲を育てるために耕された、養分や有機物に富んだ土の層。
その下の鋤床層は土がしっかり固めてあるので水を通しにくく、粘土質の土を盛上げた畔の壁になって、プールのように水を貯める働きをします。
田んぼに水をはると土の中は酸欠状態になり、有害物質が死滅して、作物がよく育つ中性の土壌に保たれます。
また稲は土と水の両方から養分を吸収でき、川の水がたえず運んでくれる養分が天然の肥料となります。
こうして田んぼの土は、毎年米を作り続けても土の力が豊かに保たれるのです。

1】田んぼは水をきれいにします。

       汚れた水が土の層を通ることで濾過されます。

   田んぼには私たちの飲み水となるきれいな地下水を作る働きがあります。

2】田んぼは森林から水と肥料をもらいます。

 田んぼに水を引くときに、水路や川から水を入れます。

 山から流れる水は、山林からとけ出す養分を運んできてくれます。

 田んぼは上流の森林から流れてくる豊かな栄養をしっかり受け止めて、有効に利用します。

3】洪水や土砂崩れをふせぎます。

 田んぼは雨水をいったんため、ゆっくりと放出するので、洪水や土砂崩れをふせぎます。

 日本の地形は、山の斜面が急で川の流れが速いため、洪水や土砂崩れが起こりやすくなっています。 

 水を貯めて、ゆっくりと外に出すことのできる田んぼは、ダムのように洪水を防ぎます。

 また、斜面にある田んぼは、土砂崩れを起こしにくくしています。

4】周囲の気温や湿度を守り、調節する。

 米作りの期間は、水面と稲の葉からたくさんの水分が空気中に蒸発していきます。

 水が水蒸気になるときには、たくさんの熱を奪い取っていきます。

 これにより、気温を上げずに熱を空気中に送る効果があります。同時に、湿度を上げる効果もあります。

水蒸気(すいじょうき)をたっぷり出して、気温が上がるのをおさえます。

5】地下水の量を一定に保つので、地盤沈下をふせぎます

 田んぼに貯えられた水は、ゆっくりと地下へしみこみ地下水になります。(そのスピードは1日約2cm!)

 そのスピードは地下水や川の水の量のバランスで決まります。

 地下水と川の水量のバランスをとりながら、雨水をゆっくり地中にしみこませるので、地盤沈下をふせぎます。

(日本全国の田んぼが貯めることのできる水の量は、日本にある全部のダムの約2倍の50億トンくらいだろうといわれています。)

6】生物のすみかになります

カエル、トンボ、イナゴ、ドジョウ、フナなどたくさんの生物がすんでいます。

ぜひ近くの田んぼをそーっとのぞいてみてくださいね。

大型化する田んぼ

昔の田んぼはおもに、1つのくぎりが10アールでしたが、国や各都道府県ではそれをまとめて30アール(100m×30m)に広げる「基盤整備(きばんせいび)」をすすめてきました。

田んぼが長方形で広いと大きな農業機械が使いやすく、農作業をスピーディーにすすめられます。
いま、平野部のほとんどが大きな長方形ですね。
農業機械もますます大型になり、いろいろな機能をそなえ、ねだんも高くなっています。さいきんは農家がグループで機械を買ったり、会社をつくって仕事をシステム化したり、農業のやり方も大型化しています。

【1】田んぼの水はかよわい苗をささえ、風雨や、さむさから守る役割があります。

【2】 寒い日は水を増やし、分けつ後は1週間ほど田を干すなど、こまかく水の管理をします。

【3日本の土は酸性で養分が少ないですが、田んぼに水を入れると土の中の酸素が微生物に使われ、酸欠状態になります。

 ①酸性の土が中性の土の近づき、作物が育ちやすくなります。

 ②酸素が必要なバイ菌などの有害生物が死ぬため、元気な作物が育ちます。

【4】土地の表面にある土は流れていきやすいのですが、1枚の水田は水平ですから、雨がたくさん降っても、水田から雨水といっしょに土が流れ出すことがありません。そのため、作物を育てるのに大切な、土地の表面の土を守ることができます。強い風で表面の土が吹き飛ばされることもありません。


 

○田んぼに植えられた直後

・およそ1週間で土の中にあたらしい根をはり、温度が上がるにつれて、葉の数もふえていきます。

○分けつ(約20日後)

葉が5~6枚になると、くきの根もとから新しいくきが生まれ、そのくきからまた次々とくきがふえていきます。

これを、分けつといいます。

○約60日後

分けつは田植えから約2か月後、くきが20本前後になるまでつづきます。

分けつが終わると稲は水をあまり必要としなくなります。

(写真は準備中です)

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